INTRO まっすぐ走るより難しい

慣性の法則により、全ての物体は「まっすぐ」進みたがる。
それを無理やり曲げて円を描かせるには、強烈な力が必要だ。
ハンマー投げ、スケートのコーナー、陸上のカーブ走。ここでは「外に飛び出そうとする力」との壮絶な綱引きが行われている。

Concept: Centripetal vs Centrifugal

Centripetal Force = 向心力 (実在する) | Inertia = 慣性 (遠心力の正体)

どっちに引っ張られる?

実は物理学に「遠心力」という力は存在しない(見かけの力)。
実際に存在するのは「中心に向かって引っ張る力 (向心力)」だけだ。
君がカーブで外に振られると感じるのは、君の体が「まっすぐ行きたい(慣性)」と叫んでいるからだ。

Velocity (まっすぐ)
向心力(Centripetal)
遠心力(Centrifugal)

公式と負荷 (Formula)

F = mv²r

向心力(F)は、速度(v)の2乗に比例し、半径(r)に反比例する。

Warning: Speed Squared

スピードが「2倍」になると、カーブを曲がるために必要な力(遠心力に耐える力)は「4倍」になる。
スピードが「3倍」なら「9倍」だ。
高速でコーナーに突っ込むのがいかに危険か、この式が証明している。

Example: コーナーの限界
STEP 1

条件

  • 体重(m) = 60 kg
  • カーブ半径(r) = 20 m
  • 走る速度(v) = 10 m/s (時速36km)
STEP 2

必要なグリップ力(F)の計算

F = (60 × 10²) ÷ 20
= 300 N

30kgの重りを横から支えるくらいの力が必要。
これだけの摩擦がないと、足が滑ってコースアウトする。

Dictionary | 収録用語一覧

Fc
Centripetal Force
向心力。
円の中心に引っ張る力。
これが実在する力。
Fake
Centrifugal Force
遠心力。
実在しない見かけの力。
慣性がそう感じさせるだけ。
r
Radius
回転半径。
半径が小さいほど、
急カーブほどGは強くなる。
Vt
Tangential
接線速度。
円の接線方向への速度。
本来進みたい方向。
Lean
内傾角
体を内側に倒す角度。
スピードが速いほど深く倒す。
釣り合いを取るため。
Grip
摩擦力
向心力の源。
地面を噛むグリップ力。
これがないと曲がれない。
Twist
Torque
回旋力。
体を内側にねじ込む力。
スムーズなターンのコツ。
Axis
回転軸
コンパスの針。
内側の足や股関節。
ここがブレると遠心力に負ける。

カーブを制する

200m走のカーブ技術

200m走では、遠心力に耐えながら走る。
体を内側に倒すが、ただ倒れるだけではコケる。外側の足で地面を強く蹴り、無理やり体を内側へねじ込む必要がある。
「左足(内足)を軸に、右足(外足)で回し込む」感覚だ。

ハンマー投げの極限

Hammer Throw: Centripetal Force

7kgの鉄球を高速回転させると、遠心力で重さは300kg以上になる。
選手が後ろにのけぞるのは、その300kgに引っ張られないように体重でバランスを取っているからだ。
この綱引きが強いほど、リリース時の初速度は上がる。

JUNIOR ACTION

SELF-CHECK & MATH DRILL

1 バケツ水回し

Bucket Spin Experiment

Velocity = 速度(進みたい方向) / Centripetal = 向心力(引っ張る力)

水を入れたバケツを縦にぐるぐる回す。
逆さまになっても水がこぼれないのは、重力よりも強い遠心力(慣性)が水を底に押し付けているからだ。
ゆっくり回すと...ずぶ濡れになる。速度(v)が全てだ。

MATH CHALLENGE

カーブを曲がる時、外に引っ張られる力(F)についてのクイズ。
スピード(v)を「2倍」出したら、引っ張られる力は何倍になるか?

  • 公式 : F = mv² / r
  • 計算 : 2の2乗 = 4
  • 答え : 4倍
※ちょっとスピードを上げただけで、カーブの遠心力は爆発的に増える。
これを制御できるのが一流だ。
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