INTRO 昨日と「違う身体」を操る
成長期(Growth Spurt)には、1年間で身長が10cmも伸びることがある。
これは、物理的に見れば「操縦しているロボットのパーツの長さが急に変わった」ことと同じだ。
今までと同じタイミングでボールを蹴ろうとしても、足が長くなっているからダフったり空振りしたりする。
これを「下手になった」と勘違いしてはいけない。単なる「設定変更中」なのだ。
クラムジー (Clumsy)
急激な身体成長に、神経系の適応が追いつかず、一時的に運動が不器用になる現象。
骨が先に伸び、筋肉や腱が引き伸ばされて柔軟性が低下するため、オスグッドなどの痛みも出やすくなる。
この時期は「新しい技術を覚える」ことよりも、「新しい身体のサイズ感に慣れる(再調整)」ことを優先すべきだ。
公式 (Leverage)
成長期の変化
Physics Hack: 「パワーダウン」の正体
身長が伸びた直後、ジャンプ力が落ちたり、走りが遅くなることがある。 これは筋力が落ちたわけではない。 手足が長くなり、物理的に「重く(振りにくく)」なったのに、筋力がまだそれに追いついていないだけだ。 焦らず筋トレをすれば、長い手足は最強の武器(強い遠心力)に変わる。
Dictionary | 収録用語一覧
人生で一番背が伸びる
時期のこと。
骨の成長に筋肉が
追いつかず起こる痛み。
骨が伸びて筋肉が
ピンと張ってしまう状態。
ズレた身体感覚の
再調整作業。
成長を武器にする
メッシとロナウドの過去
多くのスター選手も、ジュニアユース時代にクラムジーで悩み、ベンチを温めた経験を持つ。
この時期に「自分はダメだ」と諦めるか、「今は身体を作るときだ」と割り切ってフィジカルや戦術眼を磨くか。
そこで将来が決まる。
長いリーチの遠心力
大谷翔平選手のような長身選手は、手足が長い。
これは操作が難しい(振りにくい)というデメリットがあるが、一度加速してしまえば、短い手足では生み出せない巨大な遠心力(ホームランパワー)を生む。
じゃじゃ馬を乗りこなした者だけが勝つ。
JUNIOR LAB
PHYSICS EXPERIMENT
1 ストレッチの重要性
身長が伸びている時期は、筋肉が常に引っ張られている状態だ(ゴムパッチン状態)。 この状態で激しい運動をすると、筋肉の付着部が剥がれそうになる。 お風呂上がりに入念にストレッチをして、筋肉を「骨の長さに合わせてあげる」ことが最重要ミッションだ。
実験のポイント
痛くなる前に伸ばす。「痛み」はもう身体からの赤信号だ。
JUNIOR ACTION
FIELD PRACTICE
ACTION: 自分のサイズを知る (Calibration)
目を閉じて、自分の指先がどこにあるか感じてみよう。
ターゲットタッチ
壁にある小さな模様や点を、目を閉じたまま人差し指で触ってみる。 ズレていないか? ズレていたら脳内のボディイメージが古くなっている証拠だ。 何度も触って修正(アップデート)しよう。
なぜズレる?
脳は以前の身長の手足の長さで指令を出す。でも実際の身体は伸びている。 この「誤差」が不器用さ(クラムジー)の原因だ。
理解度チェック
Q1. 成長期に一時的に運動が下手になる現象を何という?
Q2. 背が伸びた時に、振りにくさは「長さ」の何乗で増える?
MATH CHALLENGE
夏休みで身長が伸びた。 腕の長さ(r)が 1.1倍 になった。 腕の振りにくさ(慣性モーメント I ∝ r²)は何倍になった?
※たった10%伸びただけで、振る重さは20%以上も増える。だから最初は思うように動けなくて当たり前なんだ。