INTRO なぜカンガルーは高く跳べるのか?
カンガルーの筋肉は、実はそこまで大きくない。
しかし、彼らは強力な「アキレス腱(バネ)」を持っている。
着地の衝撃をバネに蓄え、それを一気に解放することで、最小限の筋力で驚異的なジャンプを生み出している。
人間も同じだ。筋肉で跳ぶな。「腱(バネ)」で跳べ。
Elastic Energy (弾性エネルギー)
物体が変形した時に蓄えられるエネルギーのこと。
筋肉と腱は「ゴム」のような性質を持つ。
一度グッと引き伸ばされると、元の長さに戻ろうとする強力な力が働く。
高く跳ぶためには、しゃがみ込み(反動)動作でこのゴムを引き伸ばす必要がある。
Squat Jump (静止ジャンプ)
※ゴムが伸びていない状態。
Counter Movement (反動ジャンプ)
※ゴムを限界まで引き伸ばした状態。
公式 (Spring Energy)
SSCサイクル
Physics Hack: 「真下に落とす」意識
高く跳ぶために「上」を意識しすぎてはいけない。 バネを一番縮めるのは「強い衝撃」だ。 自分の体を重力に任せて「真下に落とす(脱力)」ことで、着地の瞬間に強烈なエネルギーが溜まり、勝手に身体が弾き飛ばされる。
Dictionary | 収録用語一覧
Cycle
バネ動作の基本原理。
バネの硬さ。
硬いほど反発が強い。
しゃがんでから跳ぶ
一連の流れ。
3関節同時伸展。
爆発力の鍵。
空中戦の覇者
助走を高さに変える
バレーボールのスパイクジャンプは、助走の「水平エネルギー」を減速(ブレーキ)によって強引に「垂直エネルギー」に変換している。
カカトでブレーキをかけた瞬間に発生する巨大な負荷を、SSCで跳ね返しているのだ。
滞空時間の正体
マイケル・ジョーダンが空中で止まって見えるのはなぜか?
物理的に空中で止まることは不可能だが、最高点付近では速度がほぼゼロになるため、長く居るように見える。
さらに手足を折りたたむことで重心を操作し、「落ちない」錯覚を作り出している。
JUNIOR LAB
PHYSICS EXPERIMENT
1 ゴムパッチン実験
輪ゴムを指にかけて飛ばしてみよう。
A: そのまま離す。
B: 限界まで引っ張って離す。
Bの方が圧倒的に遠くまで飛ぶはずだ。君の体も同じ。
アキレス腱というゴムを「限界まで引っ張って」から離陸しているか?
実験のポイント
ゴムも引っ張りすぎると切れるように、筋肉も柔軟性がないと切れる(肉離れ)。ストレッチしておこう。
JUNIOR ACTION
FIELD PRACTICE
ACTION: ポゴ・ジャンプ (Pogo Stick)
膝を使わず、足首の「バネ」だけで跳ぶドリル。
アンクルホップ
1. 直立し、両手は腰に。
2. 膝をロックしたまま(曲げずに)、縄跳びのように連続で小刻みに跳ぶ。
3. カカトは決して地面につけない。「拇指球(親指の付け根)」だけで弾む。
4. 接地時間を「短く」! 熱い鉄板の上にいるつもりで。
なぜ膝を使わない?
アキレス腱の反射(SSC)を純粋に鍛えるため。 膝を使うと筋肉に頼ってしまい、バネが育たない。
理解度チェック
Q1. ジャンプ力を上げたいなら、鍛えるべきはどっち?
Q2. しゃがみ込んでから跳ぶまでの時間は?
MATH CHALLENGE
バネのエネルギー公式は E ∝ x²(変形量の2乗に比例)。
もし、深く踏み込んでアキレス腱を「2倍」伸ばせたら、蓄えられるエネルギーは何倍になる?
※だから「深く、鋭く」踏み込むことが重要なのだ。少しの差が、大きなジャンプ力の差になる。