INTRO なぜ膝(ヒザ)ばかり痛くなるのか?
スポーツ障害の多くは、痛む場所(被害者)と、真の原因(加害者)が別の場所にある。
膝が痛いのは、膝が悪いのではなく、足首や股関節がサボっているからかもしれない。
人間の関節には「動くべき関節」と「固めるべき関節」があり、それらが交互に並んでいる。
この「ジョイント・バイ・ジョイント理論」を知れば、怪我を防ぎ、パフォーマンスを劇的に改善できる。
交互の法則
下から順に見ていこう。
足首は自由に動くべき(Mobility)。
その上の膝は安定すべき(Stability)。
その上の股関節は自由に動くべき(Mobility)。
腰は安定...胸は可動...首は安定...と、役割が交互に入れ替わっている。
もし「動くべき関節」が硬くなると、本来「安定すべき関節」が無理やり動かされ、そこで怪我が起きる。
MOBILITY (動)
足首・股関節・胸椎・肩・手首
STABILITY (定)
膝・腰椎・肩甲骨・肘
原則 (Principle)
2人の選手を比較
- 選手A: 柔らかさ10点, 強さ1点 (ぐにゃぐにゃ)
- 選手B: 柔らかさ5点, 強さ5点 (バランス型)
パフォーマンス(積)を計算
選手B: 5 × 5 = 25
※ 片方だけ突出していてもダメ。両方のバランスが取れている方が、トータルの運動能力は高くなる。
Physics Hack: ハイパーモビリティの罠
体が柔らかすぎる選手(バレエダンサー等)は、逆に「安定性(Stability)」が不足しがちだ。
関節がグラグラだと、力が逃げるだけでなく、関節自体を痛めやすい。
柔軟性が高い選手ほど、筋肉のコルセットで関節を「安定させる」トレーニングが必要になる。
Dictionary | 収録用語一覧
外力に抵抗して
位置を保つ能力。
自分の意志で
関節を動かせる範囲。
関節が動く角度。
広ければ良いとは限らない。
動かない関節の分を
他が無理して補うこと。
しなやかで強い体
スクワットで膝が内に入る (Knee-in)
深くしゃがんだ時に膝が内側に入ってしまうのは、膝が弱いからではない。
「股関節」の可動性が足りないか、「足首」が硬いため、膝がそれを補おうとして内側に逃げている(代償動作)ことが多い。
この状態でジャンプを繰り返せば、靭帯(ACL)断裂のリスクが跳ね上がる。
投球と胸椎(背骨の上部)
ボールを投げる時、胸(胸椎)が十分に回らないと、肩や肘が必要以上に動かざるを得なくなる。
「肘が痛い」投手の多くは、実は「胸が硬い」のが原因だ。
胸郭のモビリティを高めるだけで、肘への負担が消え、球が速くなることはよくある。
JUNIOR LAB
PHYSICS EXPERIMENT
1 ストローと粘土の塔
ストロー(固い・安定)と粘土(柔らかい・可動)を交互に使って高い塔を作ろう。
全部粘土だとグニャグニャで倒れる。
全部ストローだと曲がれなくて折れる。
体も同じ。硬い部分と柔らかい部分が交互にあるから、強くてしなやかなんだ。
最強のリズム:「硬・柔・硬」
「硬い関節(安定)」と「柔らかい関節(可動)」が交互に並ぶことで、体は鞭(ムチ)のようにしなることができる。
もし全部が硬ければポキッと折れてしまうし、全部が柔らかければ力がグニャグニャと逃げてしまう。
「硬い・柔らかい」の交互リズムこそが、怪我を防ぎながら最強のパワーを生み出す秘密なんだ。
JUNIOR ACTION
MOVE YOUR BODY
ACTION: キャット&ドッグ
四つん這いで背中を動かすチェックだ。
-
CHECK
1
腰は止める (Stability) おへその位置は変えないように力を入れる。
-
CHECK
2
胸だけ動かす (Mobility) その状態で、胸(肩甲骨の間)だけを天井に突き上げたり、床に沈めたりできるかな?
これができないと、腰痛になりやすいぞ。
CHECK POINT
- 腰が一緒に動いていないか?
- 肩甲骨はスムーズに動くか?
- 息を止めずにできているか?
SELF-CHECK & MATH DRILL
REVIEW
理解度チェック
Q1. 膝(ヒザ)の役割はどっち?
ヒント:グラグラすると危ないよね。
Q2. 足首が硬いとどこが痛くなる?
- 頭が痛くなる
- 小指が痛くなる
- 膝が代償して膝が痛くなる(正解!)
MATH CHALLENGE
パフォーマンス(P) = 柔らかさ × 強さ。
A君(柔10 x 強2) と B君(柔5 x 強5)。
どっちがスコアが高い?
B君: 25点 (Winner!)
※ 一芸に秀でるより、バランスが良い方が怪我も少なく、トータルでは勝つことが多い。