INTRO なぜ小さな選手が大きな選手を倒せるのか?
ラグビーのコンタクト(衝突)は、体重だけで決まるわけではない。
物理の世界には「運動量」という絶対的なルールがある。
体重が軽くても「速度」があれば、止まっている巨漢を吹き飛ばすことができる。
そして、相手の下に潜り込み「重心」を奪うことができれば、巨人はただの不安定な塔になる。
Momentum (運動量)
物体が持っている「勢い」のこと。「質量 × 速度」で決まる。
ダンプカーのように重いものがゆっくり動いていても、F1カーのように軽いものが超高速で動いていても、どちらも止めるのは難しい。
タックルとは、自分の運動量を相手にぶつけ、相手の運動量をゼロにする(または奪う)行為だ。
公式 (Momentum P)
勝てるコンタクト
Physics Hack: 「パワーフット」
コンタクトの瞬間、自分の片足を「相手の足の間(股下)」にねじ込め。 これができると、物理的に相手の重心の真下に自分の支点を作ることができる。 相手は踏ん張る場所を失い、自分がどんなに軽くても有利なテコ作用が働く。
Dictionary | 収録用語一覧
力積(力×時間)が
勝負を決める。
ここが弱いと衝撃で
「くの字」に折れる。
自分の重心を低くし
相手を引き剥がす。
タックルされながら
運動量を繋ぐ技術。
巨大戦車の止め方
足首を刈り取れ
どんな巨人も、地面に足がついていなければ力を出せない。
上半身へのタックルは弾かれるが、足首へのタックル(ロータックル)は、相手の支点を消し去るため、物理的に必ず倒れる。
8人のベクトル
スクラムは単なる押し合いではない。
8人の力のベクトル(矢印)が完全に「前」に揃った時、その合力は数トンになる。
誰か一人の背中が曲がっていると(ベクトルの分散)、そこから力が逃げて崩壊する。
JUNIOR LAB
PHYSICS EXPERIMENT
1 お相撲さん押し実験
友達と押し相撲をしてみよう。
A: 膝を伸ばして、高い姿勢で押す。
B: 膝を深く曲げて、下から突き上げるように押す。
どちらが強い?間違いなくBだ。
これが「重心の低い方が勝つ」という物理の鉄則だ。
実験のポイント
相手の胸の高さより、自分の肩の位置を低くセットしてみよう。相手は浮き上がるしかない。
JUNIOR ACTION
FIELD PRACTICE
ACTION: ベアー・クロール (熊歩き)
低くて強い姿勢を作るための最強のトレーニング。
熊歩き
1. 四つん這いになり、膝を地面から少し浮かせる。
2. 背中を「真っ直ぐ(テーブルのように)」保ったまま進む。
3. お尻を上げすぎない!膝は地面スレスレをキープ。
4. 股関節を大きく動かして前進する。
なぜ四つん這い?
スクランドやタックルの姿勢(パワーポジション)は、この四つん這いの姿勢に近い。 全身が連動する「強い体幹」が手に入る。
理解度チェック
Q1. 自分より重い相手を吹き飛ばすには?
Q2. タックルで一番大切なのは?
MATH CHALLENGE
運動量 P = mv。
体重100kgの選手が時速10kmで走ってくる (P = 100×10 = 1000)。
体重50kgの君が彼を止めるには、時速何kmでぶつかる必要がある? (P = 1000 にするには?)
※怖がって減速したら負けだ。勇気を持って加速しよう。